名倉砥(読み)なぐらど

精選版 日本国語大辞典 「名倉砥」の意味・読み・例文・類語

なぐら‐ど【名倉砥】

〘名〙 砥石一種凝灰岩主成分とするもの。石質が緻密で硬いため、合砥(あわせど)の最高級品として珍重される。愛知県設楽(したら)名倉付近から産するので、この名がある。三河(みかわど)。なぐら。〔俳諧・毛吹草(1638)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「名倉砥」の意味・わかりやすい解説

名倉砥
なぐらど

愛知県(三河(みかわ)国)産の砥石(といし)の一種。三河白(じろ)ともよばれる。砥石には、用途上、荒砥(あらど)、中砥(なかど)、仕上砥(しあげど)の別があるが、名倉砥はこのうちの仕上砥の一種として、京都府産の本山砥(ほんやまど)などと並んで古来有名である。岩石としての性質は、第三紀中新世の凝灰岩に属し、砥石中の砥粒がもっとも微細であるため、刃物研摩はもとより、金属表面のつや出し研摩にも利用され、また他の仕上砥の表面修正にも用いられている。名倉砥の名称の起源については、愛知県北設楽(きたしたら)郡設楽町の名倉から産出したからとする地名説、名倉左近(さこん)の発見によるとする発見者説などがあるが、実際に採取されている場所は新城(しんしろ)市川合(かわい)の明神(みょうじん)山の西、砥沢山である。

[村井益男]

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世界大百科事典(旧版)内の名倉砥の言及

【といし(砥石)】より

…合せ砥とも呼ばれ,本山砥(京都府産)が有名である。名倉砥(愛知県設楽町産)は砥粒が微細であり,仕上げ砥の表面の修正に使われる。油といしは仕上げ砥の一種で,石英質の緻密(ちみつ)なといしである。…

※「名倉砥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」