吉田竹子(読み)よしだ・たけこ

朝日日本歴史人物事典 「吉田竹子」の解説

吉田竹子

没年:大正12(1923)
生年明治4.6(1871)
明治大正期の筑前琵琶創始者のひとり。福岡藩士栗山幽斎のひとり娘として生まれ,孤児となってから博多花柳界で育った。美貌美声,三味線手腕により人気を集めた。富豪加野(加能)熊次郎の庇護を得て明清楽や八雲琴をも修め,筑前盲僧琵琶もこなした。明治26(1893)年,文士今村外園の作詞になる「谷村計介」に曲をつけ演奏したのが,近代琵琶楽のひとつとしての筑前琵琶(当時は筑紫琵琶)の始まりといわれる。そこには橘智定(初代旭翁)や鶴崎賢定の影響もあった。伊藤博文,金子堅太郎の庇護により東京でも活躍し,筑前琵琶の全国普及に貢献した。門弟に,一世を風靡した高峰筑風(高峰三枝子の父)がいる。

(山口修)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「吉田竹子」の解説

吉田竹子 よしだ-たけこ

1871-1923 明治-大正時代の琵琶(びわ)演奏家。
明治4年6月22日生まれ。博多の花柳界にそだつ。初代橘旭翁(たちばな-きょくおう)にまなび,明治26年筑前(ちくぜん)琵琶の第1作「谷村計介」を作曲。伊藤博文らの後援をえて東京進出をはかる。筑前琵琶の創始者のひとり。弟子に高峰筑風がいる。大正12年11月5日死去。53歳。筑前(福岡県)出身。号は瑞晃(ずいこう)。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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