召使のよい忠告(読み)めしつかいのよいちゅうこく

改訂新版 世界大百科事典 「召使のよい忠告」の意味・わかりやすい解説

召使のよい忠告 (めしつかいのよいちゅうこく)

日本では〈話千両〉と呼ばれている話で,処世術昔話の型。男が遠い所で奉公して,主人から三つの忠告を受ける。その内容は多様だが,おもなものをあげると,友人をあまりしばしば訪ねるな,遠い所の娘と結婚するな,たいせつな家畜他人に預けるな,よい道路からはずれるな,腹がたったら主の祈りを繰り返せ,鉄は金より貴重である,などかなり具体的なものが多い。この話の起源オリエントにあると考えられている。ヒマラヤからアフリカまで分布しており,中世初期にはすでにヨーロッパに達していた。11世紀の叙事詩《ルオドリープ》,14世紀初頭の説話集《ゲスタ・ロマノルム》にもみられる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報