只管・一向(読み)ひたすら

精選版 日本国語大辞典 「只管・一向」の意味・読み・例文・類語

ひた‐すら【只管・一向】

[1] 〘形動〙 そのことだけに意を用いるさま。いちずであるさま。ひたそら
書紀(720)神代上(兼方本訓)「我今、当に永(ヒタスラニ)去なむ」
小学読本(1873)〈田中義廉〉一「何事も、師匠の、教へに、順ひて、只管に勉強すべし」
[2] 〘副〙
① もっぱらそのことに集中するさま、その状態に終始するさまを表わす語。いちずに。ただただ。
源氏(1001‐14頃)夕顔「あふまでのかたみばかりと見しほどに ひたすら袖の朽ちにけるかな」
人情本・清談若緑(19C中)初「思ひもよらぬ縁談に、お政は只管(ヒタスラ)呆るるのみ」
② 完全にその状態であるさまを表わす語。まったく。まるっきり。
※源氏(1001‐14頃)朝顔「あるはひたすらなくなり給、あるはかひなくて、はかなき世にさすらへ給ふも」
※俳諧・父の終焉日記(1801)五月一二日「つれなき事を申物哉とて、ひたすら聞入れ給はず」

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