古今調子(読み)こきんぢょうし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古今調子」の意味・わかりやすい解説

古今調子
こきんぢょうし

箏の調弦名称。吉沢検校作曲の「古今組」 (『千鳥の曲』『春の曲』『夏の曲』『秋の曲』『冬の曲』) に用いられる調弦。平調子の第4・第9弦を1音上げた陰音階上行形の第2弦を1オクターブ高くしたもの。雅楽箏の盤渉 (ばんしき) 調の調弦を移調し,六・斗弦を半音下げて案出したという。同様に,雅楽黄鐘 (おうしき) 調にヒントを得たという「新古今調子」 (古今調子の第3弦を1オクターブ上げた半楽調子と,古今調子の第8弦を半音下げ,第3弦を第8弦と同音にし,巾弦を第9弦のオクターブ上とした想夫恋調子とがある) も考案し,『山桜』『唐衣』『初瀬川』『新雪月花』に使用している。

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世界大百科事典(旧版)内の古今調子の言及

【吉沢検校】より

…《千鳥の曲》の後歌を除いて,《古今和歌集》から採っているので,古今組(《春の曲》《夏の曲》《秋の曲》《冬の曲》《千鳥の曲》),古今新組(《山桜》《唐衣》《初瀬川》《新雪月花》)と呼ばれている。この古今組の作曲にあたって考案した調弦は,古今調子と称し,雅楽の盤渉調(ばんしきちよう)をヒントにした雅俗折衷の調弦である。このほか《千鳥の曲》とともに胡弓本曲ともされる《蟬の曲》や,《新山姥》《玉くしげ》《深山木》《捨扇》などの三味線曲(箏その他の手付もある)の作曲もある。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」