取敢(読み)とりあう

精選版 日本国語大辞典 「取敢」の意味・読み・例文・類語

とり‐あ・う ‥あふ【取敢】

〘他ハ下二〙
① 取りおおせる。取ることができる。しっかりと手に持つ。
伊勢物語(10C前)一〇七「蓑も笠もとりあへで、しとどに濡れて惑ひ来にけり」
② 間に合うように取る。行なうのに時間的余裕をもつ。多くは下に打消を伴って、急ぐさま、あわただしいさまなどを表わす。
古今(905‐914)羇旅・四二〇「このたびはぬさもとりあへずたむけ山紅葉の錦神のまにまに〈菅原道真〉」
③ あり合わせてある。ちょうど持ち合わせる。また、その場にいあわせる。
蜻蛉(974頃)中「御ともの人は、とりあへけるに従ひて、京のうちの御ありきよりも、いとすくなかりつると」
④ 問題にしてとりあげる。関心を抱く。相手になる。
浮世草子好色一代女(1686)一「取あへぬ返事に、かさねて寄添言葉もなく」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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