単クローン性免疫グロブリン沈着症

内科学 第10版 の解説

単クローン性免疫グロブリン沈着症(その他のパラプロテイン血症の腎障害)

(2)単クローン性免疫グロブリン沈着症(monoclonal immunoglobulin deposition disease)
 単クローン性免疫グロブリンやその断片腎臓肝臓,心臓などの全身臓器に沈着することで生じる疾患であり,免疫グロブリンの性状より,軽鎖沈着症,軽鎖重鎖沈着症,重鎖沈着症に分類される.軽鎖沈着症が最も多い.免疫グロブリンは微細顆粒状に沈着し,アミロイドーシスとは異なり線維を形成しない.Congo-red染色は陰性である.軽鎖沈着症では80%がκ鎖である.好発年齢は45歳以上であり,多発性骨髄腫に合併することが多い.糸球体へ沈着すると蛋白尿をきたし,しばしばネフローゼ症候群となる.光顕では糖尿病性腎症に類似の結節性糸球体硬化症の所見がみられる.蛍光抗体法では単クローン性免疫グロブリンの糸球体基底膜への線状沈着と,糸球体内の結節,尿細管基底膜,血管壁への沈着がみられる.電顕では微細顆粒状の電子密度物質が,糸球体基底膜内皮下に帯状に沈着する.多発性骨髄腫に準じた治療を行う.[廣村桂樹・野島美久]
■文献
原 茂子,他:クリオグロブリン血症.日内会誌,94: 58-66, 2005.
小松田 敦,他:単クローン性免疫グロブリン沈着症.別冊日本臨牀,腎臓症候群(第2版)下,18: 435-438, 2011.
田口 尚:細線維性糸球体腎炎/イムノタクトイド糸球体症. 腎生検病理アトラス (日本腎臓学会・腎病理診断標準化委員会 日本人病理協会編),pp163-167,東京医学社,東京,2010.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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