朝日日本歴史人物事典 「南部義籌」の解説
南部義籌
生年:天保11(1840)
明治大正時代のローマ字論者。土佐(高知)生まれ。大庭雪斎の『訳和蘭文語』を読んで,漢字を廃止し,ローマ字で日本語を綴るべきだと主張する日本初のローマ字論者になった。『修国語論』(1869)ののち,明治5(1872)年,文部省に『文字ヲ改換スル議』を建白,世間一般の西洋崇拝の風潮を好機とし,その「人情ニ応ジ至便ノ洋字(ローマ字)ヲ以不便ノ漢字ニ換ヘ」よと述べている。ただし,南部自身は漢学者でもあった。漢文に精通する学者が漢字の廃止や制限を唱えるのは,その後もしばしばみられる一種の皮肉な現象である。<著作>《Nippon Bunten Uhi‐Manabi》
(古田島洋介)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報