南部宿(読み)なんぶしゆく

日本歴史地名大系 「南部宿」の解説

南部宿
なんぶしゆく

[現在地名]南部町南部

河内かわうち(駿州往還)の宿。永禄一二年(一五六九)八月一六日の武田信玄禁制(朝夷一郎家文書)によれば「宗威軒 南部宿中」に対して武田軍の兵が乱暴狼藉を行ったり、士卒らの投宿や竹木の伐採を行うことを禁止している。信玄が駿河侵攻に際して駿州往還を通過することに伴って発給されたとされるが、なお検討の余地がある。天正五年(一五七七)一二月二一日の穴山信君伝馬法度(同文書)では、当宿に居住する場合には伝馬役を勤めることが規定され、次いで穴山氏の本拠地下山しもやま(現身延町)方面への通行は申刻(午後四時)刻限にし、また駿河方面への通行は酉刻(午後六時)を刻限とし、その刻限以後は当宿へ宿泊することが強制された。また伝馬役については、公用以外の伝馬に塩を付けることを禁止するとともに、たとえ公用といえども御印判を提示しない限り伝馬を出す必要がないことなどが決められた。年未詳九月二三日の穴山信君判物(同文書)では、宗威軒に宛てて伝馬役を勤めない者は宿中を追放し、勤める者へ屋敷を与えるように指示している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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