南嶋探験(読み)なんとうたんけん

日本歴史地名大系 「南嶋探験」の解説

南嶋探験
なんとうたんけん

一冊 笹森儀助著

成立 一八九四年

解説 青森県人笹森儀助の沖縄調査旅行記。副題は「琉球漫遊記」。一八九三年五月一〇日青森出発から同年一一月八日の帰宅まで、六ヵ月に及ぶ日記体の調査記録である。この間、笹森は沖縄島の首里・那覇から国頭まで、さらに宮古石垣・西表・与那国の先島諸島に至るまで踏査し、沖縄社会の諸相を活写している。人口戸数産物をはじめ多くの統計資料を含む。とりわけ宮古島における人頭税廃止運動の動向や人頭税制下に呻吟する八重山民衆の姿を克明に記録し、明治政府の旧慣温存政策の実態を批判した意義は大きい。

活字本 日本庶民生活史料集成一・東洋文庫

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報