南大隅(読み)みなみおおすみ

改訂新版 世界大百科事典 「南大隅」の意味・わかりやすい解説

南大隅[町] (みなみおおすみ)

鹿児島県南端,肝属(きもつき)郡の町。2005年3月佐多(さた)町と根占(ねじめ)町が合体して成立した。人口8815(2010)。

南大隅町南部の旧町。肝属郡所属。人口3796(2000)。大隅半島南端に位置する。北西から肝属山地が伸び,山がちで平地に乏しいため,集落はシラス台地上や小河川の河口部に立地する。古くは尾根づたいの山道が唯一の陸路で〈陸の孤島〉といわれたが,1958年国道269号線に接続する伊座敷~大泊間の県道が完成,さらに61年大泊から佐多岬に至る佐多岬ロードパーク(2007年無料開放)も開通して道路網も整備されてきた。基幹産業は農業で,米作を主体にキヌサヤやエンドウなどの栽培が行われる。沿岸漁村ではクロダイ,ブリなどの定置網漁のほか,トビウオ漁も行われる。64年霧島屋久国立公園に指定され,海中公園のある佐多岬,イスノキの原生林におおわれた稲尾岳(天)などがあって観光地として発展している。伊座敷には薩摩藩が薬草採取のために設けた佐多旧薬園(史)がある。

南大隅町北部の旧町。肝属郡所属。人口6945(2000)。鹿児島湾に面する大隅半島南西部に位置し,雄(お)川流域の沖積低地とその周辺を占める。中心集落は雄川河口の川北で,近くの根占港から対岸の薩摩半島山川港までフェリーが通じる。中世には禰寝(ねじめ)氏の領した禰寝院に含まれ,琉球貿易も行われた。近世に島津氏の直轄地となる。農業を主とし,沖積台地で稲作,台地上でサツマイモ,タバコおよびさやエンドウなどの露地栽培畜産などが行われる。海岸線は霧島屋久国立公園に含まれる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報