千島探験(読み)ちしまたんけん

日本歴史地名大系 「千島探験」の解説

千島探験
ちしまたんけん

一冊 笹森儀助著 明治二六年刊

解説 元弘前藩士で探検旅行家の著者が明治二五年夏、政府派遣の千島列島巡航艦に便乗して見聞したものを中心に、北方辺境地帯の防備開拓の急を訴えた書物。当時北辺では、北海道庁による南千島調査(明治二四年)、侍従片岡利和によるエトロフ越冬調査(同二四年)、岡本監輔らの千島義会の活動(同二五年)、郡司成忠らの千島報効義会の北千島越冬(同二六年)などの活動が相次ぎ、千島列島についての正確な情報が初めて伝えられた。本書は同郷の新聞記者陸羯南の助言も得て、調査を境界・自然・社会・歴史・交通など幅広く行い、北千島調査中の片岡侍従からも資料を得、その他の文献調査も加えてなったもの。著者は明治二六年には、琉球列島を広く探索し、「南島探験」を出版した。昭和五五年復刻。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報