十月学生革命[タイ](読み)じゅうがつがくせいかくめい[タイ](英語表記)Student Revolution of October, 1973

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十月学生革命[タイ]」の意味・わかりやすい解説

十月学生革命[タイ]
じゅうがつがくせいかくめい[タイ]
Student Revolution of October, 1973

1973年タイの軍部独裁政権を打倒した全国学生センター NSCTを中核とする反政府運動。 72年頃から反日運動などを通じて力を増大させてきたタイの学生運動は,73年に入ると,近代化のゆがみとベトナム戦争下のアメリカの影響力増大を背景としてその目標を反政府運動におき,同年 10月,軍部の腐敗糾弾と新憲法制定を要求する反政府大集会を開催。タノーム・キティカチョーン政権は先に政治活動規制違反で逮捕した知識人 13人の釈放と,74年 10月までに恒久憲法を制定することを約束したが,14日未明政府側がデモ隊に発砲したのをきっかけに市街戦の様相を呈し「血の日曜日事件」が起った。国王に事態の収拾を迫られたタノーム内閣は総辞職し,タノーム,プラパート・チャルサティアン,ナロン・キティカチョーン大佐らは国外に亡命した。こうして,ピブン・ソンクラーム政権から 27年続いたタイの軍事政権は崩壊し,タマサート大学学長のサンヤ・タマサックが首相に就任。学生勢力の支持を背景に憲法改正,政党の復活などタイの民主化に乗出した。しかし政権は短命に終り,76年 10月軍によるクーデター発生,軍部が再び政治を動かすようになった。

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