北海道志(読み)ほつかいどうし

日本歴史地名大系 「北海道志」の解説

北海道志
ほつかいどうし

二五冊 開拓使編 大蔵省 明治一七年刊

解説 本書編纂の背景に、詳細な地誌の必要性や廃使目前の記念誌著作の要請などがあった。編纂材料には、新政府の歴史・地誌編纂事業関連の成果物が多数あり、それに従事した人材もあった。校閲者は小牧昌業・鈴木大亮・原退蔵(この三名は開拓使事業報告の校閲者)・奥並継(同上編修者)であり、編纂の中心は元修史館四等編修官猪野中行であった。

構成 全三五巻・二五冊の内訳(〈 〉内は冊子番号)、巻一〈一〉総叙(建置沿革)、巻二―一〇〈二―六〉地理(疆域・形勢・図説・城池・衙署・戸口・田野・山・海・川沢・道路・名蹟)、巻一一―一五〈七―一〇〉風俗(土蕃・移住・産業上・産業下・人物)、巻一六―二九〈一一―二一〉政治(松前藩・奉行所・函館府・開拓使・恩典・租税上・租税下・兵防・開墾・採鉱・伐木・測量・学校・海運・陸運)、巻三〇―三三〈二二―二三外事(外舶・漂流・争闘・貿易)、巻三四〈二四〉物産(動物・植物・鉱物)、巻三五〈二五〉雑記(遺事・祥異)の大・中項目に分れる。この構成・分類は従来の史・誌編集例則と比べてもやや異例で、妥当性を欠き、わかりにくい。しかし内容は多数の近世史料を含む文献を用い(引用書一九〇冊、図一一)全編にわたり沿革を可能な限り遡及記述し、細密版刻による多くの図類を載せるなど、既存のレベルをはるかに超えた。最初大蔵省から二五冊の和装本として出版。明治二五年元函館支庁在勤で「地誌提要」編纂に従事した村尾元長の手により洋装二冊本として同盟著訳館から刊行。昭和四八年同盟著訳館本復刻。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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