北センチネル島(読み)きたせんちねるとう(英語表記)North Sentinel Island

知恵蔵 「北センチネル島」の解説

北センチネル島

インド洋北東部のベンガル湾にあるアンダマン・ニコバル諸島の中の島。インド連邦直轄領。島に住むセンチネル族は外部との交流を拒否しており、近づくと、弓矢などで攻撃してくる。
島の面積は約60平方キロメートル(72平方キロメートルという説もある)。周囲はサンゴ礁に囲まれ、島の大部分を密林が占めている。正確な人口は不明で、40人という説や、400人という説がある。センチネル族は、数万年にわたって島に住んでいるとされているが、詳しい生活様式は分かっておらず、狩猟などで食料を確保するなど自給自足の生活を送っていると言われている。文字の有無や使用する言語も不明だ。行政当局の連絡チームなどによって過去に撮影された写真や映像では、男女とも衣服を着用していない。
インド政府は1960年代以降、食料などを贈り物として、たびたび北センチネル島との接触を試みたが、島民からは警戒され、攻撃された。ただ91年、人類学者らによる調査隊が接触した際は、プレゼントを手渡しすることに成功している。
しかし、その後も島民の警戒は解けていない。インド政府は現在、北センチネル島を保護区域とし、島から半径5キロメートル以内に立ち入ることを禁止している。
2004年に発生したスマトラ島沖地震では、津波などによる島の被害が心配されたが、ヘリコプターからの調査で島民の無事が確認された。06年、地元の漁師2人が北センチネル島に流れ着いた際は、島民に殺害された。18年11月には、キリスト教布教のために接触を試みたアメリカ人男性が、島民によって殺害されたとみられている。男性を船で島の近くまで連れて行った地元の漁師たちが、海上から、島民が男性とみられる遺体を運んでいるのを見た。インド当局は、漁師らを島への接近を手引きした罪で逮捕し、飛行機や船で数回、島に向かったが、遺体を確認できなかった。

(南 文枝 ライター/2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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