動物の名前を含む四字熟語

四字熟語を知る辞典 の解説

動物の名前を含む四字熟語

高校の漢文の入門編では、生徒に親しみを持たせるため、動物名の入った故事成語を使うことがあります。

 たとえば、「そく」(=ヘビに足を描き加えるような余計なこと)、「さいおううま」(=いいことと悪いことは交互に来る)、「けいこうぎゅう」(=大集団に埋もれるより小集団のリーダーがいい)など。

 このうち「鶏口牛後」は、動物の名前を含む四字熟語でもあります。漢文の授業では、(=サル)の登場する「ちょうさん」という話も習いますが、動物の名が入った熟語ではありません。

 動物名を含む四字熟語には、どんなものがあるのでしょうか。本書で取り上げたことばの中から拾ってみます。

 動物名と言っても、「しんばんしょう」の「象」はゾウではないし、「鹿しょうじき」にはウマシカの意味は薄いでしょう。

 こういったものを除いた結果、動物名に関係する熟語は四四語見つかりました。一二五〇語のうちでこれだけですから、あまり多いとは言えません。

 四字熟語として最も多く現れるのは、当然、人間にとって身近な動物です。ただし、犬や猫ではありません。

 「猫」は、本書で取り上げた四字熟語の中にはひとつも入っていません。中国語の成語辞典を見ると、「びょうどうみん」(=官憲盗賊がぐるになる)など、面白いものもあるのですが、日本語では一般的とは言えないでしょう。

 「犬」(狗)も少ないですね。「とうけんけいけいめいとうようとうにく」の例があるだけです。犬や猫の好きな人にとっては、残念な結果となりました。

 話を引っ張ってしまいましたが、一番多く現れる動物名は「馬」です。

 「しんえんぎゅういんしょくぎゅうしゅうぼつげいいんしょくすんとうじんせんぐんばんなんせんほくとうふう

 この九語。騎馬民族の国・中国で生まれた語が多いためでしょう。

 一位タイとなったのは「虎」です。

 「えんがんけいけいさんしょうたんたんようしつぼうひょうようしつりゅうじょうりゅうじょうはくりゅうばんきょ

 猛獣として人々に恐れられた結果、多くの成句に取り入れられたのでしょう。

 出現度数の上位から並べてみます。

 「馬→虎→牛→狼→鶏→羊→竜→蛇→亀→いぬきつねねずみうさぎ……」

 馬とともに家畜の代表である「牛」は、「馬」より少ない五例でした。

出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報

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