前門の虎、後門の狼(読み)ぜんもんのとら、こうもんのおおかみ

故事成語を知る辞典 「前門の虎、後門の狼」の解説

前門の虎、後門の狼

一つの危難障害から身を守っても、さらにまた他の危難や障害が現れることのたとえ。

[使用例] それでは自ら井上と酒井の間に飛び込むことになるのではないか。前門の虎、後門の狼である。恐ろしいことこの上ない[冲方丁天地明察|2009]

[由来] 中国で昔から使われていることわざ。たとえば、一五~一六世紀の政治家、ちょうひつが書いた「評史」という書物では、後漢王朝の時代に、専権を振るっていた皇后一族かんがん皇帝の私的な側近)たちが追い払った事件について、「ことわざでいう『前門に虎をふせぎ、後門に狼を進める(表門では虎の侵入を防ぎながら、裏門から狼を引き入れてしまう)』というものだ」と述べています。

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ことわざを知る辞典 「前門の虎、後門の狼」の解説

前門の虎、後門の狼

一つの危難や障害から身を守っても、さらにまた他の危難や障害が現れることのたとえ。

[使用例] 例えば我が校長田島氏のごときであったら、恐らく見もせぬうちから玄関に立つ人を前門の虎と心得て、いざ狼の立ち塞がぬ間にと、草履片足で裏門から逃げ出さぬとも限らない[石川啄木*雲は天才である|1906]

[解説] 表門から侵入しようとする虎を防いだが、裏門からすでに狼が侵入してきたという意。趙弼の「評史」に「諺に曰く、前門に虎をふせげば、後門に狼を進む」とあります。

[類句] 一難去ってまた一難

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