削・梳(読み)けずる

精選版 日本国語大辞典 「削・梳」の意味・読み・例文・類語

けず・る けづる【削・梳】

〘他ラ五(四)〙
[一] (削)
刃物などで、表面を薄くそぎ取る。少しずつへぎ取る。
※四分律行事鈔平安初期点(850頃)「斉しくあらずは、剗(ケツリ)て斉平にあらしむべし」
源氏(1001‐14頃)横笛「いとらうたげに、白くそびやかに、柳をけづりて、作りたらむやうなり」
② 付いていた官位名目などを取り除く。また、ある物の一部分を取り除く。削減する。削除する。
※三代実録‐貞観五年(863)五月一日「共坐此事、解官削爵」
③ そしる。けなす。誹謗(ひぼう)する。
※仮名草子・ぬれぼとけ(1671)上「ぼっとりとして他宗をば、けづりけづりてけんくゎずき、あらじゃうごわの日蓮坊」
④ (江戸時代、大工仲間の語から出たという) 酒を飲む。〔談義本・教訓不弁舌(1754)〕
⑤ 江戸時代、芝居関係者の間で、値ぎることをいう。〔南水漫遊拾遺(1820頃)〕
[二] (梳) 櫛(くし)で髪筋をすきとおす。髪をとかす。くしけずる。
万葉(8C後)一一・二五七八「朝寝髪吾は梳(けづら)じ愛(うつくし)き君が手枕(たまくら)触れてしものを」

けずり けづり【削・梳】

〘名〙 (動詞「けずる(削)」の連用形名詞化)
① けずること。けずった様子
日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉五「家根は瓦葺にして柱の削りも滑らかに」
② (梳) 髪をすきととのえること。くしけずること。
御湯殿上日記‐永祿六年(1563)四月二五日「御けつり。御もとゆいなかはし」
③ 酒、または、酒を飲むことをいう大工仲間の隠語
※雑俳・川柳評万句合‐明和元(1764)桜四「根津の茶やけづりのしゃれをいい覚」

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