瓦葺(読み)かわらぶき

精選版 日本国語大辞典 「瓦葺」の意味・読み・例文・類語

かわら‐ぶき かはら‥【瓦葺】

〘名〙
① 屋根を、瓦でふくこと。また、その家。板葺茅葺などに対していう語。
書紀(720)斉明元年一〇月(北野本訓)「小墾田に、宮闕(おほみや)を造起(つくりた)て、瓦覆(カハラフキ)に擬将(せむ)とす」
※枕(10C終)一六一「屋のさまいとひらにみじかく、かはらぶきにて、唐(から)めき、さまことなり」
② (中世ごろまで、瓦葺の建物は寺院だけであったところから) 寺のことをいう、伊勢斎宮の忌詞。
皇太神宮儀式帳(804)「寺瓦葺云」

かわら‐ふき かはら‥【瓦葺】

〘名〙 =かわらし(瓦師)
※幕令抜抄‐三・寛政七年(1795)六月一三日(古事類苑・産業一一)「勝手のものにふかせ候に付、寺島藤右衛門支配之瓦屋瓦ふき共、両職差支及難義候由に而、他所瓦彌売買致間敷候」

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「瓦葺」の解説

瓦葺
かわらぶき

瓦で屋根を葺くこと。飛鳥時代に中国・朝鮮半島から寺院建築とともに本瓦葺が伝来し,宮殿・住宅建築などにも広まった。この本瓦葺は雨水を流す平瓦とその接ぎ目をふさぐ丸瓦からなり,野地(のじ)の上に土をおいてまず平瓦を上下に半分以上重ねて軒先から順次葺きあげ,ついで丸瓦を尻の玉縁(たまぶち)で重ねて葺く。丸瓦に玉縁がなく尻幅が狭められていて直接重ねて葺くものは行基(ぎょうき)葺といい,主として古代に一部の建物で用いられた。江戸時代に考案された桟(さん)瓦葺は平瓦と丸瓦を一体化し,重なりを少なくして軽量化・簡便化したもので,民家にも広く普及した。近代初めには西洋から洋瓦葺が入った。瓦葺は茅(かや)葺・板葺などにくらべて耐用年限が長く,防火性能が高い。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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