別相伝(読み)べちそうでん

精選版 日本国語大辞典 「別相伝」の意味・読み・例文・類語

べち‐そうでん ‥サウデン【別相伝】

〘名〙 荘園制の所領について、特別の理由による伝領、あるいは他と区別して私的に譲渡・売買ができることをいう。また、そのような所領・財産。特に、寺院において、寺家の介入なしに独自の意思で相伝が可能なこと。また、寺社領の一部を、特定の個人が継承したもの。中世では、一族一門寺社や院坊などの長の地位に付属した所領群・財産は、ひとまとまりのものとして代々伝領されることが要請されており、勝手に、また個々の荘園などを抜き取って個別的に処分することは禁止・抑制されていた。それに対し、その時どきの族長門主坊主などの個人の所領・財産で、自由に処分しうるものがあった。べちそう。
東寺百合文書‐ホ・承久二年(1220)一一月七日・丹後国大内郷譲状案「たんこの大内郷は、これにへちさうてむのところにて候」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android