八相成道(読み)はっそうじょうどう

精選版 日本国語大辞典 「八相成道」の意味・読み・例文・類語

はっそう‐じょうどう ハッサウジャウダウ【八相成道】

〘名〙 仏語釈迦衆生を救うために示した八種の相。一般に降兜率(ごうとそつ)兜率天から下ったこと)・託胎母胎に入ったこと)・降誕(母胎から出生したこと)・出家・降魔(ごうま)(菩提樹下で悪魔を降伏させたこと)・成道(悟りを得たこと)・転法輪(てんぽうりん)説法教化したこと)・入滅涅槃に入ったこと)の称。釈迦の一生における八大事で、成道が中心となる。八相。
※栄花(1028‐92頃)音楽「八相成道を画かせ給へり」
義経記(室町中か)六「和光同塵結縁の始、八そうじゃうだうは利物の終」 〔天台四教儀

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世界大百科事典(旧版)内の八相成道の言及

【灌仏会】より

…古くは,仏生会(ぶつしようえ),仏誕,降誕会,浴仏斎,竜華会(りゆうげえ)などの名があるが,今では,民族のちがいを超えて国際化し,世界各地の仏教徒がこれに参加する。元来は,インド仏教徒のあいだに,釈迦の誕生に関する奇瑞を伝えて,九竜が天より下って香水でその身を灌浴し,地下より蓮花がわき出て足を支えたとし,また釈迦は四方に周行すること7歩,左手をあげて天を指し,右手を下げて地を指し,天上天下唯我独尊と叫んだという,いわゆる八相成道(はちそうじようどう)の説があって,早くこれを仏教徒共同の祭りとする風が生じた。誕生仏の製作とともに仏像に毎日灌沐する風すら生じ,これが中央アジアを経て中国に入ると,異民族の宗教行事として儀式はいっそう盛大化する。…

【釈迦】より

仏像【百橋 明穂】
[日本における仏伝の展開]
 仏教がインド,中国を経て日本に伝わってさまざまなかたちで人々の心をとらえたのに対応して,その創始者である釈迦の伝記,人物像もまた,多様な展開をみせた。 釈迦の生涯は下天,託胎(たくたい),誕生,出家,降魔,成道(じようどう),転法輪(てんぽうりん),涅槃の8段階に区分され,〈八相成道〉と呼ばれる(《天台四教儀》)。兜率天から人間界に下り,白象に乗って摩耶夫人の胎内に宿り,その脇の下から生まれるや〈天上天下唯我独尊〉と唱え,生の苦悩にめざめて出家・苦行し,悪魔の妨害を退け,ついに悟りの境地に達し,教団を組織して人々にその教えを説き,80歳の生涯を閉じる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」