備・具(読み)そなわる

精選版 日本国語大辞典 「備・具」の意味・読み・例文・類語

そなわ・る そなはる【備・具】

[1] 〘自ラ五(四)〙
① 物・状態・条件などがそろい、ととのっている。それらを具備し、よい状態になっている。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一八「百千の事業悉く皆周く備(ソナハラ)む」
② 生まれつき持っている。もともと身につけている。
※狭衣物語(1069‐77頃か)四「三十二相もよくそなはり給ひて、仏の御身をば得給へるなどの給ふ程に」
※浮世草子・好色一代男(1682)六「そなはっての利発人
③ 身につく。自分のものとなる。
※大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)六「学業該(ソナハリ)(ゆたか)に、儀韻淹く深きを以て」
④ (「…にそなわる」の形で) その地位につく。その位に列する。
※観智院本三宝絵(984)序「貴き家より生れ、重き位に備はりたっしかど」
神仏や貴人などへの供え物となる。
※仮名草子・伊曾保物語(1639頃)中「天道に奉る、あるひは国王にそなはる物も、まづわれさきになめこころむ」
[2] 〘自ラ下二〙 (一)に同じ。
※後拾遺(1086)哀傷・五四八「そなはれし玉のをぐしをさしながらあはれかなしき秋にあひぬる〈山田中務〉」

そな・う そなふ【備・具】

[1] 〘他ハ四〙 語義未詳。十分にそろえる、そなえるの意か。
古事記(712)下・歌謡「獣(しし)待つと あぐらに坐(いま)白妙(しろたへ)の 袖着蘇那布(ソナフ) 手胼(たこむら)に 虻(あむ)掻き着き」
[2] 〘他ハ下二〙 ⇒そなえる(備)
[補注](一)の「古事記」例は、「そ」が甲類音であるのに対し、下二段活用の「そなふ」の「そ」が乙類音なので、同系の語か否かについては問題が残る。なお、この例を連体形とみる説に従って一応四段活用とした。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android