信州紬(読み)しんしゅうつむぎ

改訂新版 世界大百科事典 「信州紬」の意味・わかりやすい解説

信州紬 (しんしゅうつむぎ)

絹織物の一種。長野県全域10市17町村で生産される手織紬をいい,伝統的工芸品指定品。山繭紬野蚕紬),上田紬飯田紬伊那紬,絁紬(あしつむぎ),絓紬(しけつむぎ),ふとり紬などがある。上田紬は17世紀後半から織りはじめられ,上田縞として知られていた。幕末には藩営の紬改所もあった。他の紬産地もすでに18世紀初期から生産され,野蚕とくに天蚕糸使いは希少価値がある。経糸は平絹糸,玉糸,手紬糸,緯糸は手紬糸,絁糸,絓糸が使われる。無地,縞,格子,手括絣の平織とその変り織。素朴で風合い,品質ともにすぐれ,着尺,帯などに用いられる。企業数86,約6万反の生産(1977)がみられる。
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事典 日本の地域ブランド・名産品 「信州紬」の解説

信州紬[染織]
しんしゅうつむぎ

北陸甲信越地方、長野県の地域ブランド。
松本市・上田市・飯田市などで製作されている。信州紬は、山繭紬をはじめ上田紬・松本紬・飯田紬・伊那紬など長野県内各地で産出される紬の総称。江戸時代には、信州の各藩が競って養蚕を奨励したため、信州全域が紬の産地として栄えた。戦後は、長野県や県内の市町村が紬織物の復興に力を入れたため、長野県全域で生産が活発になった。1975(昭和50)年2月、通商産業大臣(現・経済産業大臣)によって国の伝統的工芸品に指定。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

デジタル大辞泉プラス 「信州紬」の解説

信州紬

長野県で生産される伝統的な絹織物。松本紬・上田紬・飯田紬・伊那紬など、信州各地で生産される紬織物の総称。国指定伝統的工芸品。

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