低タンパク(蛋白)血症(読み)ていたんぱくけつしょう(英語表記)hypoproteinemia

改訂新版 世界大百科事典 「低タンパク(蛋白)血症」の意味・わかりやすい解説

低タンパク(蛋白)血症 (ていたんぱくけつしょう)
hypoproteinemia

血液中の総タンパク質量(正常値6.5~8.0g/dl)あるいはアルブミン(正常値3.8~4.8g/dl)が病的に低下した状態をいう。大出血後などの血液希釈の場合を除いて,タンパク質摂取・供給不足(飢餓,栄養不足,膵炎,吸収不良症候群など),合成障害(肝臓疾患,妊娠),分解亢進(結核などの慢性炎症,甲状腺機能亢進症,糖尿病,癌),そしてアルブミンの喪失(潰瘍性大腸炎,ネフローゼ症候群腹水,火傷・皮膚疾患などによる)により生じる。小児のタンパク質欠乏による脂肪性肝硬変もある。総タンパク質量が正常範囲であっても,アルブミンの減少とともにグロブリンが上昇することも多く,血清タンパク質分画を調べて総タンパク質の内容について知ることが診断上重要である。低タンパク血症は身体組織の抵抗力・回復力を弱め,たとえば外科手術後の創傷治癒を遅らせ,また浮腫の原因ともなる。タンパク質の成人必要量は体重1kg当りだいたい1日1gであるが,思春期や妊娠時には約2倍必要となる。患者に対しては量・質を考慮した食事療法あるいは輸血,アルブミン製剤の投与が行われる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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