伏見鑑(読み)ふしみかがみ

日本歴史地名大系 「伏見鑑」の解説

伏見鑑
ふしみかがみ

二巻二冊

成立 安永九年

分類 地誌

写本 宮内庁書陵部

版本 国会図書館

解説 伏見についての数少ない地誌の一つ。「京羽二重」に倣い、京・大坂への往来、運送船付の要地である伏見の沿革を記す。上巻には伏見奉行・町方役人・本陣・八ヵ村石高・船宿・諸職など、下巻には、地名・町々名寄・古墳・神社・寺院などを収め挿図を付す。伝本が少なく貴重視されているが、山本真嗣の謄写版刷(昭和四九年)によって、内容が知られる。なおここには「伏見大概記」(享保一三年)、「伏見堤綱引道再興帳」(天保一二年)が加えてある。「伏見鑑」の天保版ともいえるものに「泰平俯見御役鑑」があり、体裁はほとんど前書と同じで、内容的にも同じようなものを取上げているが、年代が天保期(一八三〇—四四)であるだけに安永以降の移り変りを追うことができる。また、同じ天保期の伏見覚書(御香宮三木家文書)も、同様のものであるがそれほど網羅的ではなく、また、これは木版ではなく筆写本で、特に寺院の本末関係や伏見町人の職業の部分が詳しいことと、同書の前半部が西国大名関係の記事で埋められているところに特徴がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報