井門郷(読み)いどごう

日本歴史地名大系 「井門郷」の解説

井門郷
いどごう

和名抄」高山寺本・流布本に「井門」と記し、高山寺本のみ「為度」と訓ずる。現松山市南部の重信しげのぶ川中流域にある現在の井門・森松もりまつ土居どい高井たかいの各地区に比定される。

平城宮出土木簡に「 温泉郡井門郷大田里久米大虫」とある。奈良時代にはこの郷は温泉郡に属していたのであろう。浮穴郡への転属年代は不明である。建久七年(一一九六)付の田所注文に「浮穴郡井土郷新田一町五段二十歩」とあるが、これは井門郷のことである。元久二年(一二〇五)閏七月付の関東下知状(河野家文書)によると、河野通信の配下として井門太郎重仲の名がみえる。

井門郷
いとごう

「和名抄」所載の郷。讃岐国三木郡の同名郷は訓注に「井乃倍」(東急本)とあるが、ここでは表記に従ってイトとよむ。比定地未詳。ただし「新撰美濃志」以来、イノベとよみ、郡西部の稲辺いなべ(現美濃加茂市)を遺称として、西隣の田原たわら(現関市)にかけての一帯に比定する説が多い(「濃飛両国通史」「大日本地名辞書」など)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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