井伏 鱒二(読み)イブセ マスジ

20世紀日本人名事典 「井伏 鱒二」の解説

井伏 鱒二
イブセ マスジ

昭和・平成期の小説家



生年
明治31(1898)年2月15日

没年
平成5(1993)年7月10日

出生地
広島県深安郡加茂村粟根

本名
井伏 満寿二(イブセ マスジ)

学歴〔年〕
早稲田大学仏文学科〔大正11年〕中退

主な受賞名〔年〕
直木賞(第6回)〔昭和12年〕「ジョン万次郎漂流記」,読売文学賞(第1回・小説賞)〔昭和24年〕「本日休診」,日本芸術院賞(第12回・文芸部門)〔昭和31年〕「漂民宇三郎」,野間文芸賞(第19回)〔昭和41年〕「黒い雨」,文化勲章〔昭和41年〕,読売文学賞(第23回・随筆・紀行賞)〔昭和46年〕「早稲田の森」,東京都名誉都民〔平成2年〕

経歴
日本画家を志すが文学に転じ、早大仏文科に学ぶ。同級の青木南八の励ましで創作を始め、大正8年「やんま」「たま虫を見る」、15年「鯉」、昭和4年「山椒魚」「屋根の上のサワン」を執筆。5年に刊行された短編集「夜ふけと梅の花」で注目され、その中の「山椒魚」はユーモアと人生に対する冷徹な観照、画眼による自然観察に他の追随を許さぬ完成度を見せた。以降戦時も戦後もユニークな作家として活動。12年に「ジョン万次郎漂流記」で直木賞、31年「漂民宇三郎」で芸術院賞、41年には文化勲章を受けた。原爆をテーマにした戦争記録文学「黒い雨」のほか、好きな酒と釣りの随筆も多い。一方、詩作も手がけ、「厄除け詩集」「仲秋明月」がある。他に「さざなみ軍記」「集金旅行」「多甚古村」「本日休診」「遙拝隊長」「珍品堂主人」「靹ノ津茶会記」や自伝的小説「雞肋集」、60年に亘る荻窪生活を綴った「荻窪風土記」、随筆「早稲田の森」「太宰治」、訳書に「ドリトル先生」シリーズなど。「井伏鱒二全集」(全12巻 筑摩書房)「井伏鱒二自選全集」(全12巻 新潮社)がある。平成9年「黒い雨」の直筆原稿が福山市に寄贈された。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

367日誕生日大事典 「井伏 鱒二」の解説

井伏 鱒二 (いぶせ ますじ)

生年月日:1898年2月15日
昭和時代;平成時代の小説家
1993年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android