五斗みそ(読み)ごとみそ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「五斗みそ」の意味・わかりやすい解説

五斗みそ
ごとみそ

醸造なめみそ一種大豆を煮てこれに糠(ぬか)と塩とを混ぜ合わせてつくる変わりみその一種。煮大豆、糠、米麹(こめこうじ)、酒粕(さけかす)、塩の5種を1斗(18リットル)ずつ混ぜてつくったのでこの名があるといわれる。10日ほどで発酵熟成し、用いられる。糠を食用する数少ない例で、これが糠みそ漬け起源とされている。

河野友美・山口米子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の五斗みその言及

【ぬか(糠)】より

…現在,野菜類の場合は塩水にして使い,魚などは塩をそのまま使うことが多い。江戸前期までのぬかみそは,別名を五斗みそ,あるいは後藤みそといい,材料の一部にぬかを加えたみその一種であった。材料の配合には諸説があるが,代表的なのはダイズ,ぬか,米こうじ,酒かす,塩を1斗ずつ用い,短期間に醸造したものであった。…

【ぬかみそ漬(糠味噌漬)】より

…ところで,この漬床のぬかみそはそれ自体を食べるものではないが,これとは別に食べるぬかみそというものがあった。別名を五斗みそといい,ダイズ,ぬか,米こうじ,酒かす,塩各1斗ずつを原料としたための名だというが,ダイズ2斗,ぬか2斗,塩1斗でつくるとしたものもある。増量材としてぬかを使ったもので,鎌倉時代には糂粏(じんだ)と呼び,広く一般に食用とされていたことが《沙石集》などで知ることができる。…

【みそ(味噌)】より

…みそ汁が文献に見られるのは室町期のことになるが,《延喜式》には未醬が〈汁物料〉にも使われていたことが見え,実際には室町期以前からみそ汁はつくられていたと思われる。ぬかみそ(ぬかみそ漬)は,今では漬物用にぬかと塩を合わせただけのものになっているが,かつては増量材としてぬかを加えてつくったみそで,別名を五斗みそ,後藤みそといい,みそ汁などに使われていた。 現在でもみそはさまざまな料理に使用されている。…

※「五斗みそ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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