二項モデル(読み)にこうもでる(英語表記)Binomial (Tree)Model

M&A用語集 「二項モデル」の解説

二項モデル

ブラックショールズモデルと並ぶ代表的なオプション評価方法である。オプションの権利行使期間を細分化したうえで、株価(原資産価格)を上昇下落→上昇・下落→・・・と場合分けして将来の株価の推移を予測し、現在のオプションの価値を推定する方法である。上昇・下落→上昇・下落→・・・と図示する様子が格子状になることから「格子モデル」、木の幹が枝葉に分かれていく様にも似ていることから「ツリーモデル」とも呼ばれている。ブラックショールズモデルでは、理論上は権利行使満期日のみに行使できるヨーロピアンオプションの評価しか適用できないが、二項モデルでは権利行使期間中いつでも行使できるアメリカンオプションの評価にも適用できるなど拡張性が高い。一方、ブラックショールズモデルは解析式で表現できるため表計算ソフトや関数電卓でも簡単に計算できるのに対し、二項モデルは解析式が存在せず、専用のソフトウェアが必要になる。日本で発行されているストックオプション多くはアメリカンタイプのものがほとんどであるため、本来は二項モデルで計算しなければならないが、ブラックショールズモデルの方が簡便であること、ストックオプション会計でブラックショールズモデルで計算してもよいとされていること、よほど複雑な設計にしない限りどちらの方法でも大差のない評価結果が得られることから、ストックオプション評価ではブラックショールズモデルが用いられることが圧倒的に多い。

出典 M&A OnlineM&A用語集について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android