二毛菌類(読み)にもうきんるい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「二毛菌類」の意味・わかりやすい解説

二毛菌類
にもうきんるい

二毛菌植物ともいわれて植物界一門とされたり、褐色植物門の一綱とされたりする一分類群であるが、この分類法には問題がある。形態のうえでは、褐藻類と同様に、生殖細胞に羽型と尾型の各1本1組の鞭毛(べんもう)があるため、褐藻類の同化色素の退化したものが二毛菌類になったと考えられてきた。また、二毛菌類には羽型鞭毛1本のサカゲツボカビ類も含まれるが、これは尾型鞭毛が退化したものと説明されている。しかし、これらの退化説を否定する菌類の独立起源説では、二毛菌である卵菌類とサカゲツボカビ類は、それぞれ独立群として、植物界とは別の菌界に含まれる。

[寺川博典]

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世界大百科事典(旧版)内の二毛菌類の言及

【鞭毛菌類】より

…菌類のうち,生活史のある時期に,鞭毛をもった遊走細胞を生ずるものをまとめた群で,分類上,亜門として扱われる。従来,藻菌類と呼ばれていた菌類のうちの,単毛菌類と二毛菌類とを合わせた菌群にあたる。無性生殖は遊走子囊から泳ぎ出る遊走子によって行われ,有性生殖も行う。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」