二式飛行艇(読み)にしきひこうてい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二式飛行艇」の意味・わかりやすい解説

二式飛行艇
にしきひこうてい

第2次世界大戦を通じて世界最高水準をゆくと評価された日本海軍の大型飛行艇通称「二式大艇」という。戦後も,少なくとも 10年間は本機をしのぐ飛行艇は出現しなかった。飛行艇の製作に独自の技術をもつ川西航空機が,菊原静男技師を設計主務者として,さきがけとなった九七式飛行艇を大幅に改良して開発。 1941年初飛行,1942年実戦に投入され,哨戒偵察爆撃輸送 (兵員 64人搭載) などの任務にあたった。強力な武装をもち,アメリカ軍のボーイングB-17爆撃機やカーチスP-40戦闘機と交戦して撃退したこともある。戦後アメリカ合衆国は,この飛行艇を見て水準の高さを認め,川西に飛行艇の研究を依頼した。海上自衛隊の新明和 PS-1飛行艇は,この伝統を受け継ぐものである。全長 28.13m,全幅 38.0m,総重量 24.5t,エンジン 1680馬力4,最大速度時速 452km,航続距離 7200km。武装は 20mm機関砲5,7.7mm機関銃4のほか,1t爆弾2または魚雷を搭載する。生産数は九七式飛行艇と合わせて 400機。

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