二口越出羽道(読み)ふたくちごえでわみち

日本歴史地名大系 「二口越出羽道」の解説

二口越出羽道
ふたくちごえでわみち

奥羽山脈を越えて陸前から羽前最上に出る東北南部横断道の一つ。仙台と山形を最短距離でつなぐ街道にもかかわらず、一部を除いて整備されたことはなく、一里塚も平坦部にはあったが、並木などはなかった。これは二口峠越の地点が一〇〇〇メートル余の高峻地で傾斜が急であること、近世には仙台城からは最上方面への西口にあたるため、道路の整備は藩の意向として行われなかったことによるらしい。

街道の名は藩境に近い本小屋もとごや付近に設けられた仙台藩の御境目守屋敷のところで道が二つに分れ、一つは山伏やまぶし(標高九三四メートル)を越えて最上領山寺やまでら(現山形市)へ、もう一つは左寄りの清水しみず(標高一一三〇メートル)を越えて村山むらやま高野こうや(現山形市高沢)へ出たところから、道が二つに分れる意味で二口とよばれたようである。「観蹟聞老志」の名取川の項に「二道ふたくち」とあり、また「仙台領遠見記」には「御境の方門を出、則左右へ分し、両御境への道なり。是を二口といふ。此処より馬足かなはす。歩行斗也。左の方御境へ二十四丁余、清水峠といふ(中略)二本ぶな御境へ行(中略)峯へ上り此処を山伏峠と云」と記される。街道の呼称は「二口越羽前街道」「高沢街道」(名取郡地誌)、「二口道」「もかミ海道」(現存道標)などともみえ、正規の呼称は不明。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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