乾地農業(読み)かんちのうぎょう(英語表記)dry farming

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「乾地農業」の意味・わかりやすい解説

乾地農業
かんちのうぎょう
dry farming

降水量が少く,灌漑農業が不可能なところで営まれる農業。少い降雨を有効に利用した耕法を営まなければならない。その必要から生れた粗放的な畑作農耕で,耕地を深く耕し,表土を細かく砕いて水分吸収をはかり,降雨後その上に土をかぶせて毛管現象による蒸発を防ぐ。アメリカでは秋に深耕し,翌春早く種をまく前に再度耕して土を薄くかぶせる。この耕法は古代地中海世界や中国北部,インドなどにみられ,北アメリカ大陸のグレートプレーンズ,南アメリカのパンパス,オーストラリアなどで盛ん。日本では夏の乾燥期に畑作物の周辺にわらを敷くが,これもその一種といえよう。

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世界大百科事典(旧版)内の乾地農業の言及

【乾燥地農業】より

…雨の季節性,風の強さ,土壌の性質などによっても異なるが,おおよそ年降水量500mm以下の地域で,灌漑によって水を供給せず,降雨のみを利用して作物に必要な水を土壌中に保存し,収量は低いが安定した作物栽培を行おうとする農法をいう。乾地農業,乾燥農業ともいう。年降水量500mm以下の地域は地球全体の50%以上を占め,アメリカの北西部,オーストラリア,アジア大陸北部,地中海沿岸などに広く分布している。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」