乱(箏曲)(読み)みだれ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「乱(箏曲)」の意味・わかりやすい解説

乱(箏曲)
みだれ

箏曲(そうきょく)の曲名。『乱輪舌(りんぜつ)』の略称。八橋検校(やつはしけんぎょう)(1614―85)作曲の箏(こと)独奏曲。「輪舌」とは、雅楽の『越天楽残楽三返(えてんらくのこりがくさんぺん)』の後半や、『五常楽急(ごしょうらくのきゅう)』にある箏の演奏法をさし、分散和音や装飾音などのような楽箏の技巧的な演奏法のこと。それが、筑紫(つくし)流箏曲の『輪舌』に取り入れられ、のちに生田(いくた)流に入ったもの。各段の拍数がまちまちで、一曲中のテンポがいろいろに変化する。声楽曲の多い箏曲のなかで、器楽的に発展する音楽構造をもつ数少ない作品の一つ。

[茂手木潔子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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