中枢性筋弛緩剤(読み)チュウスウセイキンシカンザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「中枢性筋弛緩剤」の解説

中枢性筋弛緩剤

製品名
《アフロクアロン製剤》
アフロクアロン(沢井製薬)
アロフト(ニプロESファーマ)
《エペリゾン塩酸塩製剤》
エペソ(コーアイセイ)
エペリゾン塩酸塩(小林化工、日医工、鶴原製薬、日本ジェネリック、武田テバファーマ、武田薬品工業、東和薬品、日新製薬、第一三共エスファ、第一三共、ニプロ、辰巳化学)
サンバゾン(旭化成ファーマ)
ミオナベース(寿製薬、あゆみ製薬、高田製薬)
ミオナール(エーザイ
ミオリラーク(共和薬品工業)
《チザニジン塩酸塩製剤》
チザニジン(長生堂製薬、共和薬品工業、日医工、鶴原製薬、日本ジェネリック、武田テバファーマ、武田薬品工業、沢井製薬、東和薬品)
チザネリン(武田テバファーマ、武田テバ薬品、武田薬品工業)
テルネリン(サンファーマ、田辺三菱製薬)
モトナリン(日本薬品工業、日本ケミファ)
《クロルフェネシンカルバミン酸エステル製剤》
クロルフェネシンカルバミン酸エステル(ニプロ、沢井製薬、鶴原製薬)
リンラキサー(大正ファーマ、大正製薬)
《バクロフェン製剤》
ギャバロン(第一三共)
リオレサール(サンファーマ、田辺三菱製薬)
《プリジノールメシル酸塩製剤》
ロキシーン(東菱薬品工業、日医工)
《メトカルバモール製剤》
ロバキシン(あすか製薬、武田薬品工業)

 筋肉の運動に関係している脳・脊髄せきずいにはたらきかけて、神経の過度な興奮を鎮め、筋肉の痛み、こわばり、緊張を解消する薬です。中枢性筋弛緩剤にはいろいろな種類があります。


 中枢性筋弛緩剤は、薬によって適応となる病気や症状が違います。


 プリジノールメシル酸塩製剤メトカルバモール製剤は、腰背痛症肩関節周囲炎頸肩腕けいけんわん症候群変形性脊椎症などに伴う有痛性痙縮けいしゅくに用います。


 クロルフェネシンカルバミン酸エステル製剤は、腰痛背部痛変形性脊椎症せきついしょう椎間板ヘルニア脊椎分離症脊椎すべり症脊椎骨粗鬆症こつそしょうしょう頸肩腕症候群肩関節周囲炎などの病気からおこった筋肉の痛み・こわばり緊張などの治療に用います。


 バクロフェン製剤では、術後後遺症後縦靱帯骨化症多発性硬化症ミエロパチーによる痙性麻痺脳血管障害脳性麻痺痙性脊髄麻痺頸部脊椎症外傷後遺症脊髄小脳変性症筋萎縮性側索硬化症による痙性麻痺のほかに、アフロクアロン製剤では、頸肩腕症候群腰痛症による筋緊張状態の改善多発性硬化症脊髄血管障害後縦靱帯こうじゅうじんたい骨化症術後後遺症その他の脳脊髄疾患による痙性麻痺チザニジン塩酸塩製剤では、頸肩腕症候群腰痛症による筋緊張状態の改善多発性硬化症による痙性麻痺エペリゾン塩酸塩製剤では、頸肩腕症候群肩関節周囲炎腰痛症による筋緊張状態の改善スモン脳性小児麻痺脊髄血管障害その他の脳脊髄疾患による痙性麻痺などの治療に使います。


 エペリゾン塩酸塩製剤は、鎮静催眠といった副作用がみられません。


①過敏症状(発疹ほっしんなどのアレルギー症状)がおこることがあります。


 また、エペリゾン塩酸塩製剤では、ショック、アナフィラキシー、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死えし症がおこることがあります。クロルフェネシンカルバミン酸エステル製剤では、ショック、中毒性表皮壊死症がおこることがあります。チザニジン塩酸塩製剤では、ショック、急激な血圧低下、心不全、呼吸障害、肝炎、肝機能障害、黄疸おうだんがおこることがあります。バクロフェン製剤では、意識障害、呼吸抑制、依存性がおこることがあります。


 このような症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に相談してください。


②そのほか、ねむけ、めまいふらつき、頭痛、頭重感、倦怠感けんたいかん、かすみ目、吐き気嘔吐おうと、下痢、便秘、腹痛、食欲不振、口やのどの渇きのほか、かゆみ、脱力感、排尿障害といった症状がおこることがあります。


 このような症状がおこったときは、必ず医師に相談してください。


③肝障害、じん障害、血液障害、眼瞼下垂がんけんかすいがおこる薬もあります。副作用のチェックや薬の効果を確かめるために、定期的な検査が指示されることがあるので必ず受けてください。


①いろいろな剤型がありますが、食後の服用が原則です。ただし、1日あるいは1回の服用量・服用時間・服用回数、服用期間については、医師・薬剤師の指示を守り、かってに中止したり、減量・増量しないでください。


 内服剤は、必ずコップ1杯以上の水で飲んでください。


②問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告してください。とくに、過去に筋弛緩剤を使用して過敏症状をおこしたことがある人、クロルフェネシンカルバミン酸エステル製剤では、肝機能障害の人には使用できません。プリジノールメシル酸塩製剤では、緑内障、前立腺肥大症による排尿障害、重篤な心疾患、麻痺性イレウスのある人には使用できません。チザニジン塩酸塩製剤では、重い肝障害、フルボキサミンマレイン酸塩製剤またはシプロフソキサシン製剤を使用中の人には使えません。


 バクロフェン製剤では、てんかん、精神疾患、胃・十二指腸潰瘍かいよう、呼吸不全のある人、腎機能低下の人に使えないことがあります。必ず医師に報告してください。


③妊婦または現在妊娠している可能性がある人、母乳で授乳中の人は、あらかじめその旨を医師に報告してください。


④高齢者や小児が使うと副作用が出やすい薬です。医師の指示を守ってください。


⑤ねむけ、注意力・集中力・反射運動の低下などがおこることがあります。この薬の使用中は自動車運転や危険を伴う作業は避けてください。


⑥めまいやふらつきをおこすことがあるので、これらの薬を服用中は禁酒を守ってください。


⑦ほかの薬を併用するときは、必ず医師に相談してください。また、必ず医師に報告してください。薬によっては、フェノチアジン系抗精神病剤バルビツール酸系催眠鎮静剤などの中枢神経抑制剤、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤との併用、及び筋弛緩剤どうしの併用で、お互いの薬の効果が増強し、副作用が現れやすくなります。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報