キノロン系合成抗菌剤(読み)キノロンケイゴウセイコウキンザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「キノロン系合成抗菌剤」の解説

キノロン系合成抗菌剤

製品名
《オフロキサシン製剤》
オフロキサシン(沢井製薬、武田テバファーマ、武田テバ薬品、武田薬品工業、長生堂製薬、鶴原製薬、日本ジェネリック)
タリビッド(第一三共)
《シタフロキサシン水和物製剤》
グレースビット(第一三共)
シタフロキサシン(沢井製薬)
《シプロフロキサシン製剤》
シバスタン(鶴原製薬)
シプロキサン(バイエル薬品
シプロフロキサシン(長生堂製薬、日本ジェネリック、日医工、沢井製薬、東和薬品
《トスフロキサシントシル酸塩水和物製剤》
オゼックス(大正ファーマ、富山化学工業)
オゼックス小児用(大正ファーマ、富山化学工業)
トスキサシン(マイランEPD)
トスフロキサシントシル酸塩(沢井製薬、富士フイルムファーマ、辰巳化学、ニプロESファーマ、武田テバファーマ、武田テバ薬品、武田薬品工業、日医工、ニプロ、陽進堂)
トスフロキサシントシル酸塩小児用(高田製薬、東和薬品、Meiji Seika ファルマ、辰巳化学、日本ジェネリック)
《ノルフロキサシン製剤》
ノルフロキサシン(エルメッド、エーザイ、陽進堂、沢井製薬、鶴原製薬)
バクシダール杏林製薬
小児用バクシダール(杏林製薬)
バスティーン(全星薬品工業、全星薬品)
《プルリフロキサシン製剤》
スオード(Meiji Seika ファルマ)
《メシル酸ガレノキサシン水和物製剤》
ジェニナック(アステラス製薬、富山化学工業)
《モキシフロキサシン塩酸塩製剤》
アベロックス(バイエル薬品、富士フイルムファーマ)
《レボフロキサシン水和物製剤》
クラビット(第一三共)
《ロメフロキサシン塩酸塩製剤》
バレオン(マイランEPD)
レボフロキサシン(岩城製薬、大原薬品工業、科研製薬、杏林製薬、キョーリンリメディオ、共和クリティケア、共和薬品工業、コーアイセイ、小林化工、佐藤製薬、サノフィ、沢井製薬、サンファーマ、三和化学研究所、サンド、シオノケミカル、セオリアファーマ、全星薬品工業、全星薬品、第一三共エスファ、第一三共、大興製薬、高田製薬、武田薬品工業、長生堂製薬、辰巳化学、ニプロESファーマ、武田テバファーマ、東和薬品、日医工、日東メディック、ニプロ、日本ジェネリック、日本ケミファ、ファイザー、富士製薬工業、Meiji Seika ファルマ、持田製薬、持田製薬販売、ヤクハン製薬、陽進堂)
レボフロキサシンOD(東和薬品)

 キノロン系(ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤ともいう)の薬は、合成抗菌剤のひとつです。ピリドンカルボン酸系製剤は、細菌の増殖に必要な蛋白質たんぱくしつの元になる核酸の生成を阻害し、細菌を死滅させる作用があると考えられています。


 咽頭炎いんとうえん喉頭炎こうとうえん扁桃炎へんとうえん気管支炎肺炎肺化膿症はいかのうしょうといった呼吸器感染症腎盂腎炎じんうじんえん膀胱炎ぼうこうえん尿道炎前立腺炎ぜんりつせんえんといった尿路感染症胆管炎胆嚢炎たんのうえんなどの胆道の感染症細菌・ウイルスなどによる腸管の感染症毛嚢炎もうのうえんせつよう膿痂疹のうかしんといった皮膚の感染症中耳炎副鼻腔炎ふくびくうえん麦粒腫ばくりゅうしゅ角膜炎かくまくえんといった耳目の感染症などの治療に使用されます。


 外傷や手術後の二次感染の予防にも使用されます。


 ロメフロキサシン塩酸塩製剤トスフロキサシントシル酸塩水和物製剤メシル酸ガレノキサシン水和物製剤レボフロキサシン水和物製剤は、従来の合成抗菌剤に比べて抗菌力が増強、応用範囲が拡大され、副作用の発現率も改善されています。オゼックス小児用は、肺炎、コレラ、中耳炎、炭疽たんそなどの治療に用いられます。そのほかオフロキサシン製剤は、口腔感染症歯周組織炎など)、ハンセン病などにも効果があります。また、プルリフロキサシン製剤は、子宮内感染子宮付属器炎にも効果があります。


①過敏症状(発疹ほっしん、かゆみなどのアレルギー症状)、ショック、アナフィラキシー大動脈瘤大動脈解離胸部腹部または背部の痛み)が現れることがあります。


 このような症状が現れたら使用を止め、すぐ医師に相談してください。また、この薬を使用中は、光線過敏症がおこることがあるので、直射日光に長時間当たらないことが大切です。


 薬によっては、中毒性表皮壊死えし融解症、皮膚粘膜眼症候群、QT延長や心室頻拍といった心疾患、重症筋無力症の悪化、錯乱などの精神症状、けいれん、アキレス腱炎などの腱障害、横紋筋融解症、偽膜性大腸炎、急性腎障害、間質性腎炎、間質性肺炎、劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、低血糖、無顆粒球症、血小板減少などがおこることがあります。


 そのほかにモキシフロキサシン塩酸塩製剤では、失神、意識消失、オフロキサシン製剤では、間質性腎炎、汎血球減少症、溶血性貧血、好酸球性肺炎、シプロフロキサシン塩酸塩製剤では、多形紅斑、急性汎発性発疹嚢胞症、汎血球減少症、間質性腎炎、血管炎、トスフロキサシントシル酸塩水和物製剤では、好酸球性肺炎、間質性腎炎、腎性尿崩症、ノルフロキサシン製剤では、剥脱性皮膚炎、ギラン・バレー症候群、血管炎、溶血性貧血、プルリフロキサシン製剤では、多形紅斑、メシル酸ガレノキサシン製剤では、好酸球性肺炎、レボフロキサシン製剤では、過敏性血管炎、汎血球減少症、溶血性貧血、間質性腎炎が現れることがあります。


 このような症状が現れたら使用を止め、すぐ医師に相談してください。


②薬によっては、のどの渇き、不眠、頭痛、めまい、吐き気・嘔吐おうと、食欲不振、腹痛、下痢、腱断裂などの腱障害(痛みや浮腫)、消化不良、口内炎、舌炎、口渇、便秘、腹部膨満感などが現れることがあります。


 オゼックス小児用では、下痢、嘔吐がおこることがあります。


③肝障害、腎障害、白血球減少などの血液障害、低血糖といった自覚できない副作用がおこることがあります。


①いろいろな剤型がありますが、食後の服用が原則です。1日の使用回数と使用時間・1回の使用量については医師の指示を守り、かってに中止したり、増量・減量しないでください。オゼックス小児用は細粒剤で、1日2回の服用です。


②あらかじめ、持病、本人または家族にアレルギー症状をおこしやすい体質のある人、現在使用中の薬の有無などを医師に報告してください。大動脈瘤、大動脈解離があるまたはおこしたことのある人、家族がおこしたことがある人は、かならず報告してください。


 とくに、脳・脊髄せきずいの病気、重篤な心疾患、重症の腎臓の病気、不整脈、糖尿病、耐糖能異常、収縮期血圧が90mmHg以下、てんかん、けいれん、重症の脳動脈硬化症、重症筋無力症といった病気がある人、QT延長をおこすおそれのある人は医師に報告してください。また、過去にキノロン系合成抗菌剤を用いて過敏症状をおこしたことがある人、妊婦あるいは現在妊娠している可能性のある人、小児は、これらの薬を使用することができないこともあります。


 シプロフロキサシン製剤では、ケトプロフェン、チザニジン塩酸塩を使用中の人には使用できません。では、レボフロキサシンで過敏症を起こしたことのある人は使用できません。モキシフロキサシン塩酸塩製剤では、重い肝障害がある人、QT延長のある人、低カリウム血症のある人、クラスⅠA(キニジン、プロカインアミド等)またはクラスⅢ(アミオダロン、ソタロール等)の抗不整脈剤を使用中の人には使用できません。ノルフロキサシン製剤プルリフロキサシン製剤では、フェンブフェン、フルルピプロフェンアキセチル、フルルビプロフェンを使用中の人には使用できません。


 また、重度の徐脈などの不整脈、急性心筋虚血などの不整脈をおこしやすい人は、医師に相談してから用いてください。


モキシフロキサシン塩酸塩製剤の使用中は、自動車運転や危険を伴う作業は避けてください。オフロキサシン製剤メシル酸ガレノキサシン製剤レボフロキサシン製剤では、めまい、ねむけなどがおこることがあるので、自動車運転や危険を伴う作業にたずさわる人は医師に相談してください。


④これらの薬を服用中にほかの薬を使う必要があるときは、必ず医師に相談してください。


 薬によっては、心臓病、気管支喘息ぜんそくに使用するテオフィリン製剤、制酸剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤などと併用すると、副作用がおこりやすくなることがあります。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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