中国大運河(読み)ちゅうごくだいうんが

世界遺産詳解 「中国大運河」の解説

ちゅうごくだいうんが【中国大運河】

2014年に登録された世界遺産(文化遺産)。中国大運河は、中国の沿海部、北京市と浙江省杭州市を南北に結ぶ総延長2000km以上に及ぶ巨大な水系である。現在も使用されており、中国史において万里長城双璧をなす、世界最古にして最大級かつ最も広範な土木事業と位置づけられる。春秋戦国時代の紀元前5世紀に江蘇省揚州市から開削が始まり、時代時代に増改築が進められたが、大きく整ったのは隋時代の紀元7世紀、文帝や煬帝の時代である。13世紀までには、2000km以上に延長され、中国の主要河川である海河(かいが)、黄河、淮河(わいが)、長江銭塘江(せんとうこう)の五大水系を結ぶ大運河となった。これにより中国の南北を政治・経済的に統一し、長期にわたる唐の政権を可能にし、その後、世界最大の土木工学のプロジェクトにつながっていった。大運河は、中国の内陸の情報ルートとして、穀物鉱物を輸送し、米をあまねく供給した。構成資産には、6つの省にまたがる1011kmの運河と関連の遺産58ヵ所が含まれる。中国の経済的繁栄と安定を支え、現在に至るまで大動脈として果たしてきた役割は多大である。◇英名はThe Grand Canal

出典 講談社世界遺産詳解について 情報