両越渡(読み)もろこしのわたし

日本歴史地名大系 「両越渡」の解説

両越渡
もろこしのわたし

河内かわうち(駿州往還)の途上、富士川右岸の西河内領箱原はこばら(現鰍沢町)砥阪とさか(戸坂)西島にしじま(現中富町)岩崎いわさき左岸楠甫くすほ村・岩間いわま村との間を連絡する二ヵ所の渡しで、わずか一〇町ほどの距離にあったことから両越渡と称されたという(甲斐国志)。慶長年間(一五九六―一六一五)に開かれた富士川舟運には、富士川三河岸(鰍沢・黒沢・青柳)から駿州岩淵いわぶち(現静岡県富士川町)まで下る「タテ流し」と、対岸とを渡船で結ぶ「ヨコ渡し」があった。富士川舟運の開通後、府中から布施ふせ(現田富町)で富士川を渡り、富士川右岸に沿って南下するようになった駿州往還鰍沢かじかざわ宿(現鰍沢町)から箱原村に至った所で突岩絶壁に阻まれ通行できなかったため、同村砥阪で対岸の楠甫村へ舟で渡して岩間宿へ継ぎ、その後再び右岸の西島村へ渡船して切石きりいし宿(現中富町)に継送りしたという(甲斐国志)。駿州往還は戦国期までは府中から市川大門いちかわだいもん(現市川大門町)を経て割石わりいし峠を越える富士川左岸の道を通り、岩間宿から渡船で西島に渡ったとされる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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