不如・不若・不及(読み)しかじ

精選版 日本国語大辞典 「不如・不若・不及」の意味・読み・例文・類語

しか‐じ【不如・不若・不及】

連語〙 (動詞「しく(及)」の未然形「しか」に、打消推量の助動詞「じ」の付いたもの)
① (「…にしかじ」「…にはしかじ」などの形で) 及ばないであろう。…にこしたことはないであろう。
※大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃)「埃累の間に纏はれて、未だ寰区の表(外)に出でず、豈に、龍宮の秘せる旨、鷲嶺の微(くわ)しき詞の群迷を沙界に導き交喪を塵劫に庇(かく)さむには若(シカジ)
和泉式部日記(11C前)「我ならぬ人もさぞみんなが月のありあけの月にしかじあはれは」
② 副詞的に用いる。
(イ) むしろ。いっそのこと。
※観智院本三宝絵(984)中「ながいきして人ににくまれむよりは、しかし功徳をつくりてはやくしなむにはと思て」
(ロ) たしかに。たしかにそうだ。
浮世草子男色大鑑(1687)四「此程の御心遣ひ外に聞にはあらず、しかじ申かはせし事慥(たしか)ならね共」

しか‐・ず【不如・不若・不及】

〘連語〙 (動詞「しく(及)」の未然形「しか」に打消の助動詞「ず」の付いたもの)
① (「…は…にしかず」の形で) およばない。かなわない。おとる。
万葉(8C後)三・三五〇「黙然(もだ)をりて賢(さか)しらするは酒飲み酔泣(ゑひなき)するになほ不如(しかず)けり」
② (「…にはしかず」などの形で) それにこしたことはない。それがいちばんよい。その方がいい。
平家(13C前)一「西光法師、頸をとるにはしかずとて、瓶子のくびをとてぞ入にける」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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