此程(読み)このほど

精選版 日本国語大辞典 「此程」の意味・読み・例文・類語

この‐ほど【此程】

〘名〙
① 近い過去から現在までの時間を漠然とさしていう語。このごろ。ちかごろ。最近。
源氏(1001‐14頃)帚木「このほどは、大殿にのみおはします」
※浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)二「此程の遊女はむかしのごとくかぶきものにはあらず」
② 近い過去のある時をさしていう語。このあいだ。さきごろ。先日。せんだって。過日
謡曲江口(1384頃)「さればこそこれはこの程も尊い人の夢にも、昔の江口の長川舟にて、鼓唱歌にて遊び給ふが、のちには普賢菩薩となって、天に上がり給ふと」
③ (再度に及ぶ物事について) このたび。今度。今回。
※謡曲・道成寺(1516頃)「久しく撞き鐘退転仕りて候ふを、この程再興仕り鐘を鋳させて候」
④ 近い未来をさしていう語。そのうち。近いうち。
※あさぢが露(13C後)「この程さりぬべからん日ぐれにわたしはんべらん」
⑤ (物事の程度や様子について) これほど。この程度。このくらい。このよう。
※浮世草子・好色敗毒散(1703)二「さてさて今の心さびしさ、此程にては長き冥途月日なかなか暮さるる事にてはなし」
⑥ (ある場所をさして) このあたり。この近辺。
※浜松中納言(11C中)四「いひしらずかうばしき香、このほどに匂ひて」

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