下形（読み）シタカタ

デジタル大辞泉

した‐かた【下形】

１ 模様などの染め付けに用いる彫刻した板。ひながた。形木かたぎ。
「御みづからも物の―、絵やうなどをも御覧じ入れつつ」〈源・梅枝〉
２ 下地。素地。素質。
「大将も、さる世のおもしとなり給ふべき―なれば」〈源・若菜下〉
３ 下地となるべき心得。基礎。
「宮にも、物の心しり給ふべき―を、聞こえ知らせ給ふ」〈源・鈴虫〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

した‐かた【下形】

〘名〙

① 手本、基準となる一定の形。ひながた。形木(かたぎ)。

※小川本願経四分律平安初期点（810頃）「彼の模(シタカた)を須ゐるべし」

※源氏（1001‐14頃）梅枝「御身づからももののしたかたゑやうなどをも御らむしいれつつ」

② 本来の性質。したじ。素質。また、それをもっている人。候補者。

※源氏（1001‐14頃）藤袴「人がらもいとよく、おほやけの御うしろみとなるべかめるしたかたなるを」

③ あらかじめする準備。物事を行なう基礎。予備的な心得。

※源氏（1001‐14頃）鈴虫「しづめて宮にも物の心しり給べきしたかたをきこえしらせ給ふ、いとあはれにみゆ」

出典　精選版 日本国語大辞典