ふじ‐ばかま ふぢ‥【藤袴】
[1] 〘名〙
①
キク科の
多年草。中国原産といわれ、本州・四国・九州の
山野に生える。秋の
七草の一つで、観賞用に庭などにも植えられる。高さ一~二メートル。全体に一種の
芳香がある。葉は深く三裂し、柄をもち対生する。秋、梢頭に淡
紫色の頭花を密な散房状につける。頭花は少数の管状花からなり白い冠毛がある。利尿薬に用いられ、また、中国では湯に入れて入浴した。漢名、
蘭草・香草・香水蘭。《季・秋》
※
万葉(8C後)八・一五三八「萩の花尾花葛花瞿麦が花女郎花また藤袴
(ふちばかま)朝顔が花」
② 襲
(かさね)の色目の一つ。
表裏とも紫色であるもの。〔胡曹抄(1480頃)〕
※
類聚国史‐三一・天皇行幸下・大同二年(807)九月乙巳「幸
二神泉苑
一〈略〉四位已上、共挿
二菊花
一、于
レ時皇太弟頌歌云、美耶比度乃、曾能可邇米豆留、布智波賀麻、岐美能於保母能、多乎利太流祁布」
④ (「蘭」とも書く) 香木の名。分類は新伽羅(きゃら)。一木三銘香の一つ。
⑤ 朝鮮茶碗の一つ。大名物。筒状の胴外側の
上辺に崩れた雷文帯を、下辺に二本の筋をめぐらし、その間に菊丸紋四顆を象嵌したもの。三島狂言袴の類。
[2] 「
源氏物語」第三〇帖の巻の名。光
源氏三七歳の八、九月。源氏の使で
玉鬘を訪れた
夕霧が、玉鬘恋しさのあまり藤袴の花を贈り、
和歌の
贈答をすることを中心に、鬚黒、蛍兵部卿宮など玉鬘をめぐる人々の
思惑を描く。
玉鬘十帖の第九。
[語誌]「本草和名」に「蘭草〈略〉和名布知波加末」とあるのが秋の七草の一つとして(一)①の
挙例「万葉‐一五三八」に詠まれた
キク科の香草である。「蘭」は香草の
総称であったが、中古以降はもっぱら
フジバカマのこととされ、歌語として用いられた。「源氏‐藤袴」でも、地の文では「蘭」といっていても和歌中では「ふぢばかま」である。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「藤袴」の意味・読み・例文・類語
ふじ‐ばかま〔ふぢ‐〕【藤×袴】
1 キク科の多年草。川岸などに生え、高さ約1メートル。茎は直立し、葉は三つに裂けていて、対生する。8、9月ごろ、淡紅紫色の頭状花を密につける。秋の七草の一。蘭草。《季 秋》「―吾亦紅など名にめでて/虚子」
2 襲の色目の名。表裏ともに紫。秋に用いる。
源氏物語第30巻の巻名。光源氏37歳。玉鬘が尚侍として出仕するといううわさに思い惑う、夕霧・柏木・鬚黒大将などのようすを描く。
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藤袴 (フジバカマ)
学名:Eupatorium fortunei
植物。キク科の多年草,園芸植物,薬用植物
藤袴 (フジバカマ)
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報