上物・揚物(読み)あがりもの

精選版 日本国語大辞典 「上物・揚物」の意味・読み・例文・類語

あがり‐もの【上物・揚物】

〘名〙
神仏に供える品。社寺に寄進する品物
※浮世草子・万の文反古(1696)二「さる御かたの御息女御死去なされ其あがり物を調(ととの)へ遣はし申候」
② 官、公に没収されたもの。
浄瑠璃・長町女腹切(1712頃)下「伯母さへしぬれば科(とが)はひとりに極って、脇指は上り物、外に御せんぎは残るまい」
③ (②の意から) 役に立たなくなったもの。また、使い古して不用になった物。すたりもの。お古。
※浄瑠璃・弘徽殿鵜羽産家(1715)三「召人伊賀の介が家財闕所、女房はあがり物此方へ召取たり」
④ 宮仕えする下男、下女。
⑤ 飲食する人を敬って、その飲食物をいう語。めしあがりもの。
※椀久物語(1899)〈幸田露伴〉六「万般が其様では食物(アガリモノ)其他、御気にそまぬことも一つ二つではござりますまい」
田畑などから収穫したもの。農産物
⑦ 家賃、地代などの収入。
大つごもり(1894)〈樋口一葉〉上「貸長屋の百軒も持ちてあがり物(モノ)ばかりに常綺羅(しゃうきら)美々しく」

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