地代(読み)ちだい

百科事典マイペディア 「地代」の意味・わかりやすい解説

地代【ちだい】

一般に土地の賃貸料をいうが,経済学上は特に農業地代をいう。これは土地を借りて農業を営む者が土地所有者に支払う借地料であり,歴史的には封建地代から資本制地代に変遷。資本制農業では借地農業資本家は平均利潤を差し引いた超過利潤部分を地代として支払う。しかし借地料は利子や平均利潤への食込み部分を含みもする。土地私有の独占に基づき,あらゆる土地に支払われる絶対地代,有利な条件の土地にだけ支払われる差額地代の2形態がある。日本の小作料は,封建制から資本主義への過渡段階に生じる過小農が支払った半封建的な高額借地料であった。
→関連項目剰余価値地価労働地代

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精選版 日本国語大辞典 「地代」の意味・読み・例文・類語

じ‐だい ヂ‥【地代】

〘名〙 (「ちだい」とも)
他人の土地を借りた者がその地主に支払う報酬。借地料。じしろ。
御触書寛保集成‐三九・享保四年(1719)六月「古来之格式無之候間、隣町之地代宿代之積りを以可差出事」
※談義本・根無草(1763‐69)前「いかに口から地代の出ぬものなればとて」
② 土地の代価。地価。
③ 経済学で、土地所有者が受ける土地から生ずる純所得。その土地の総生産額から、その生産に要したすべての費用を差し引いた残りの金額。

じ‐しろ ヂ‥【地代】

〘名〙 借地料。じだい。
※談義本・労四狂(1747)下「商に入れたる金を残りなく家屋敷にして、其地しろ取て」

ち‐だい【地代】

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デジタル大辞泉 「地代」の意味・読み・例文・類語

じ‐だい〔ヂ‐〕【地代】

《「ちだい」とも》
他人の土地を借りた者がその地主に支払う借地料。
土地を売買するときの値段。地価ちか
[類語]料金代金勘定会計支払い精算愛想あいそ愛想あいそお代清算決済代価手数料月謝有料対価手間賃賃金使用料送料倉敷料原稿料入場料木戸銭授業料口銭湯銭運賃借り賃貸し賃宿賃店賃たなちん家賃間代部屋代室料席料席代下宿代場所代場代

ち‐だい【地代】

じだい(地代)

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世界大百科事典 第2版 「地代」の意味・わかりやすい解説

ちだい【地代 rent】


近代経済学からみた地代】
 地代とは土地一定期間使用するときの使用料のことである。地代が発生するのは,土地が生産要素の一つとして価値の生産に貢献するからである。
[企業用地の地代]
 たとえば,土地を借りてなんらかの事業を営む企業を考えよう。この企業の生産物の市場価格はこの企業の供給量には依存しないとする。このとき,労働や資本設備といった他の生産要素の使用量を一定とすると,この企業はどれだけの面積の土地を借りるであろうか。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地代」の意味・わかりやすい解説

地代
ちだい

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世界大百科事典内の地代の言及

【地代】より


【近代経済学からみた地代】
 地代とは土地を一定期間使用するときの使用料のことである。地代が発生するのは,土地が生産要素の一つとして価値の生産に貢献するからである。…

【経済学説史】より

…そして,古典派経済学の最後の巨峰はJ.S.ミルであり,その著《経済学原理》(1848)は古典派経済学の完成の記念碑である。 スミスは,商品の交換比率は生産に必要な労働量によって決まるという投下労働価値説を,土地所有と資本蓄積のない未開社会にのみ認め,土地所有と資本蓄積のある社会については長期的な需要と供給の均衡により,賃金,地代,利潤の自然率の和として商品の自然価格が決定されるものとした。しかしリカードは,若干の修正の必要を認めながらも,未開社会でなくても投下労働価値説が基本的には成立すると主張し,商品の交換比率は需要から独立であるとする。…

【地借】より

…一方,負担の点については,敷地年貢(地子)や,公権力・領主への役負担を免ぜられ,また共同体諸経費の分担も家持より軽減されていた。しかし,地借が家持や地主に対して支払う地代は,地借にとっては大きな負担であり,家持や地主にとっては,借家・店借からの店賃とともに,重要な収入源となった。地借は,自己の家屋を持つことから,借家・店借のような〈無産者〉ではなく,家屋を担保として金融をうけることができるなど,借家・店借より一段と高い地位・状態といえよう。…

【七分積金】より

…これが,町法改正,七分積金令と呼ばれるもので,以後幕末・維新期まで江戸の都市政策の根幹をなした。 幕府はこれに先だって,江戸の各町に1785年(天明5)から5年間の地代店賃(たなちん)上り高,町入用(ちよういりよう),地主収入等を書上げさせた。この結果,1年分の町入用は江戸全体で金15万5000両余に及ぶことがわかり,このうち3万7000両が節減可能とされた。…

【資本論】より

…しかし《資本論》の体系の構成からいうと,このイデオロギーの面が,ネガティブに,裏面になっていて,イギリス古典学派の批判的展開としての経済学が,ポジティブに,表面に,出ている形になっている。
[イギリス古典派経済学]
 A.スミスの《国富論》や,D.リカードの《経済学および課税の原理》によって代表されるイギリス古典派経済学は,確立しつつあった資本制商品経済社会の基盤に立って,社会各層の生活の基礎である賃金や利潤,地代などの所得のカテゴリーを,商品価格の構成要素として取り出し,それらの相互関係や運動を,商品の売買(=価格)に働く交換価値法則(労働価値説)によって説明しようとした。こうして資本主義社会の経済的編成とその運動法則を明らかにしようとする経済学の古典的なパラダイムができあがった。…

【生産費】より

…市場で取引される商品の生産のために支出される費用。原材料・燃料動力費,人件費,利子・地代・家賃,特許料などの生産に直接使用される商品・サービスへの支出と,商品の販売・管理,本社業務など生産活動を間接的に補助・促進する支出とがある。さらに,生産設備,非居住用建物,構築物,輸送運搬機器などの前払いした固定資本財を生産に使用することに対する費用相当分の回収(あるいは前払いした費用の当期割当分)として,減価償却費と呼ばれる費用も生産費に含められる。…

【土地】より

…経済学上,土地は資本や労働と並ぶ生産要素の一つである。土地の生産要素としてのサービスを一定期間使用するときの対価は地代と呼ばれる。他方,土地は耐久的な生産要素であるから,財産所有者の資産選択の対象となり,ストックとしての土地そのものが売買される。…

※「地代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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