上大等(読み)じょうだいとう

改訂新版 世界大百科事典 「上大等」の意味・わかりやすい解説

上大等 (じょうだいとう)

朝鮮新羅の最高官職。上臣とも称される。他の官職と異なり所属官庁を持たず,相当官位の規定も明文がなく不明である。また1王代に1人の上大等が任命され,王と進退をともにするのが原則であった。《三国史記》によればその創設は531年であり,以後新羅滅亡まで存続した。しかし5世紀末には,すでにその原型が形づくられていた可能性が大きい。上大等は大等とよばれる高級貴族階層の首席にほかならず,王のもとで大等階層を統制しかつ代表するものとして設置された。おそらく高句麗の大対盧や百済の上佐平佐平)の制度にならったのであろう。上大等は王のもとで国政を総括する立場にあったが,その歴史的性格は一様ではなく,とくに三国統一の前後に官制機構が整備され,王権の専制化がすすむにつれて,その政治的地位は低下していった。逆に8世紀末以降は,上大等から王位に登る例もみられ,政治的比重が増大した。
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