上京文書(読み)かみぎょうもんじょ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「上京文書」の意味・わかりやすい解説

上京文書
かみぎょうもんじょ

京都市旧上京地区(二条通以北)の各町に伝わる共有文書の総称で、戦国期より江戸末期にわたる町々の記録文書。おもなものに、〔1〕京都大学文学部所蔵文書、〔2〕京都国立博物館寄託文書がある。〔1〕は元和(げんな)・寛永(かんえい)期(1615~44)、寛文(かんぶん)期(1661~73)における触書(ふれがき)や安永(あんえい)期(1772~81)における「立売組町訴訟裁許請状(たちうりくみまちそしょうさいきょうけじょう)」など11通からなる。少数ながら江戸初期における京都市政の基礎史料として重要である。〔2〕は(1)「町代改儀一件(ちょうだいかいぎいっけん)関係文書」113冊、(2)「上京共有文書」14巻6冊、(3)「室町頭町文書(むろまちかしらまちもんじょ)」25点1幅からなっており、これらの文書から、室町幕府、織豊政権、江戸幕府の町組に対する支配関係、町組の組織、財政貢租、行事などを知ることができる。なお(2)の一部「上下京町々古書明細記(かみしもぎょうまちまちこしょめいさいき)」「親町要用亀鑑録(おやまちようようきかんろく)」が孔版で京都市より1937年(昭和12)に刊行されている。また本文書の目録としては、36年10月に開催された京都市公同組合記念会におけるものが詳細である。

[久保田昌希]

『原田伴彦編『日本都市生活史料集成 1(三都篇1)』(1977・学習研究社)』

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