三鉱連企業整備反対闘争(読み)さんこうれんきぎょうせいびはんたいとうそう

改訂新版 世界大百科事典 「三鉱連企業整備反対闘争」の意味・わかりやすい解説

三鉱連企業整備反対闘争 (さんこうれんきぎょうせいびはんたいとうそう)

炭鉱不況下の1953年,三井鉱山(従業員約5万7000人)の人員整理(6739人)をめぐる労働争議。三鉱連(全国三井炭鉱労働組合連合会)は,113日スト後に人員整理案を白紙撤回させ全面勝利する。組合勝利の要因は,(1)職場・地域組織の強化,炭婦協(主婦会)の結成などを通じ大衆闘争を展開したこと,(2)無期限全面ストライキをうたず,当時最も有効な保安順法闘争や部分ストライキなど柔軟な戦術を採用したこと,(3)職員組合(職制だけで組織される組合)との共闘がうまくいき,組合分裂もなかったこと,(4)組合の〈独走も敢えて辞せざる決意〉,などがあげられる。この争議の勝利は,炭労総評の〈ぐるみ〉闘争,職場闘争の発展に大きな影響を与えた。なお企業整備は〈合理化〉ともいわれ,ふつう人員整理(解雇)を伴う企業規模の縮小をいう。三鉱連の争議のほか企業整備反対闘争として有名なものには,ドッジ不況下の東芝争議,国鉄行政整理反対闘争(ともに1949),デフレ政策下の尼崎製鋼争議日鋼室蘭争議(ともに1954),エネルギー転換に伴う炭鉱不況下の三池争議(1959-60)などがある。
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