三保ノ松原(読み)みほのまつばら

改訂新版 世界大百科事典 「三保ノ松原」の意味・わかりやすい解説

三保ノ松原 (みほのまつばら)

静岡市清水区の三保半島にある松原。《万葉集》にも詠まれた駿河の景勝地で,白砂青松と富士山の眺望によって古来有名である。駿河湾に突きでた三保半島は有度(うど)山が海食されて生じた砂礫を沿岸流が運んでつくった砂嘴で,内側に清水港を抱き,先端は北方へ曲がって港の入口の真崎,清水港に突出する貝島岬と塚間弁天岬の三つの鉤状の枝に分かれ,いわゆる分岐砂嘴の形状を呈している。三つの岬があることから〈三穂〉あるいは〈御穂〉の呼称が生まれ〈三保〉となったという。外海である駿河湾に臨み,吹合浜から真崎まで平らな砂礫の浜と植林された松林が続く。羽衣伝説と謡曲《羽衣》にちなむクロマツ巨木〈羽衣の松〉と,天人の羽衣の断片を秘蔵するという式内社の御穂神社が林の中にある。清水港側は埋立てと工場群の立地によって対照的な景観をみせる。松原は国の名勝に指定され,日本平県立自然公園に含まれている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報