七小町(読み)ナナコマチ

デジタル大辞泉 「七小町」の意味・読み・例文・類語

なな‐こまち【七小町】

小野小町伝説に取材した七つ謡曲草子洗小町かよい小町・鸚鵡おうむ小町・卒都婆そとば小町・関寺小町清水小町雨乞小町の7曲。また、それに基づく浄瑠璃歌舞伎歌謡など。

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精選版 日本国語大辞典 「七小町」の意味・読み・例文・類語

なな‐こまち【七小町】

[一] 小野小町の伝説に取材した七つの謡曲の総称。草子洗小町・通小町・卒都婆小町・関寺小町・鸚鵡小町・山本小町(または雨乞小町)・清水小町をさす。歌舞伎などにも「七小町」の所作がある。また、それらに見られるような運命の意にも用いる。
※俳諧・富士石(1679)三「七夕に手向の星や七小町〈調残〉」
[二] 地歌。箏曲。天保年間(一八三〇‐四四)京都の光崎検校作曲。箏手付は八重崎検校。船坂三枝作詞。謡曲の七小町を簡潔につづり合わせたもの。長い間奏を持つ手事物(てごともの)名曲

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「七小町」の意味・わかりやすい解説

七小町
ななこまち

地歌・箏曲の曲名京風手事物光崎検校作曲。八重崎検校箏手付。作詞は船坂三 (光) 枝。小野小町を扱った7つの伝説 (草紙洗小町・通小町・雨乞小町・関寺小町・卒都婆小町・清水小町・鸚鵡小町) を順に綴る。構成は,前歌-手事 (マクラ・手事・チラシ) -後歌。マクラはツナギともいう。三弦は本調子から二上りを経て高三下り。箏は半雲井調子から平調子になり中空調子で終る。山田流でも演奏するが,派によって手が異なる。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「七小町」の解説

七小町
(通称)
ななこまち

歌舞伎・浄瑠璃の外題
元の外題
けいせい七小町 など
初演
享保7.秋(京・八重桐座)

七小町
ななこまち

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
正徳1.秋(大坂・嵐座)

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世界大百科事典(旧版)内の七小町の言及

【小野小町】より

…また《関寺小町》は,関寺の僧が寺の近くに住む老残の小町から歌の道を聞くという物語であり,《鸚鵡小町》も,新大納言行家が関寺近くに老いた小町を訪ねるという筋になっている。この5曲に《雨乞小町》《清水小町》を加えて七小町といい,江戸時代には七小町が歌舞伎の題材,浮世絵の画題などにしばしばとりあげられた。そのほかでは御伽草子の《小町草紙》が,業平と小町を観音の化身とし,歌道と仏道を結びつけて中世の小町伝説を集成している。…

※「七小町」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」