ロア(Claude Roy)(読み)ろあ(英語表記)Claude Roy

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ロア(Claude Roy)
ろあ
Claude Roy
(1915―1997)

フランスのジャーナリスト、批評家。パリに生まれる。「批評的描写」の総題をもつ批評活動は、古典作品から近代絵画に至る多様な対象を、軽妙な文体で分析し位置づける。業績は、詩、小説、ルポルタージュ、美術論など多数ある。なかでも、右翼共感を寄せた戦前の青年時代からの蛇行した精神遍歴、多彩な交友関係などを語る『この私』Moi je(1969)をはじめとして全3冊の自伝的エッセイは、一つの時代の生きた証言として注目される。癌(がん)から生還したあと、なお生きることの幸福を『滞在を許されて』(1982)に書いた。

清水 徹]

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